助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
それからの行動は、とても早かった。
受付の女性に、人事部の担当者と繋いでもらうように頼む。
名前を聞かれた時は、正直に言えば出てきてもらえないのではないか……という考えも一瞬よぎった。
だけど。
ここで嘘をついたことで、嘘つきというレッテルを貼られるくらいなら。
正直者として拒絶される方がずっと良い。
何度もアタックできる方がずっと良い。
自分からわざわざ不誠実なことをすることは、絶対したくない。
僕の事を陥れた、あの先輩と同じ土俵には立ちたくないと、強く思う。
受付の女性が内線で連絡をしているをしている間、自分の心臓の音がうるさくなる。汗でも拭こうかとポケットからハンドタオルを取り出す。
すると、何かがはらりと床に落ちた。
手のひらサイズのカード。
それは、さっきのたこ焼きラムネの彼女の名刺。
彼女とはほんの少し会話をしただけだった。
でもそのたった数分の時間が、僕の気持ちを落ち着かせた。
そんな、恩人とも言える人間の名刺。僕はすぐさまそれを拾う。
高井綾香。総務課。
それから無理に笑顔を作ったのがわかる顔写真が印刷されている。
そうか……総務課なら、ああいう買い出しなどの雑用をしていても不思議ではない。
けれどあの、初心者の人間に対して全力で心配するようなお節介なところは、きっと仕事としてではなく本来の人間性なのだろう。
少なくとも、あの袋の中身は普通の飲み物があったにも関わらず「たこ焼きラムネ」を渡してきたのは、きっとわざとではないだろう……おそらく。
ふと、そんな思い出し笑いをしていると、受付の女性から人事部がある階にいくように指示される。
よし……無事に関門をクリア……。
僕は、名刺のほこりをさっと払い、胸ポケットに入れているメモ帳に挟み、指定された場所へ向かった。
この時には、完全に恐怖心は無くなり、戦略を論理的に組み立てられるようになっていた。
受付の女性に、人事部の担当者と繋いでもらうように頼む。
名前を聞かれた時は、正直に言えば出てきてもらえないのではないか……という考えも一瞬よぎった。
だけど。
ここで嘘をついたことで、嘘つきというレッテルを貼られるくらいなら。
正直者として拒絶される方がずっと良い。
何度もアタックできる方がずっと良い。
自分からわざわざ不誠実なことをすることは、絶対したくない。
僕の事を陥れた、あの先輩と同じ土俵には立ちたくないと、強く思う。
受付の女性が内線で連絡をしているをしている間、自分の心臓の音がうるさくなる。汗でも拭こうかとポケットからハンドタオルを取り出す。
すると、何かがはらりと床に落ちた。
手のひらサイズのカード。
それは、さっきのたこ焼きラムネの彼女の名刺。
彼女とはほんの少し会話をしただけだった。
でもそのたった数分の時間が、僕の気持ちを落ち着かせた。
そんな、恩人とも言える人間の名刺。僕はすぐさまそれを拾う。
高井綾香。総務課。
それから無理に笑顔を作ったのがわかる顔写真が印刷されている。
そうか……総務課なら、ああいう買い出しなどの雑用をしていても不思議ではない。
けれどあの、初心者の人間に対して全力で心配するようなお節介なところは、きっと仕事としてではなく本来の人間性なのだろう。
少なくとも、あの袋の中身は普通の飲み物があったにも関わらず「たこ焼きラムネ」を渡してきたのは、きっとわざとではないだろう……おそらく。
ふと、そんな思い出し笑いをしていると、受付の女性から人事部がある階にいくように指示される。
よし……無事に関門をクリア……。
僕は、名刺のほこりをさっと払い、胸ポケットに入れているメモ帳に挟み、指定された場所へ向かった。
この時には、完全に恐怖心は無くなり、戦略を論理的に組み立てられるようになっていた。