助けてください！エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません

えっ……！？
何でこんなとこに、加藤さんが……！？

「あれ？加藤さん、どうしたんですか？」

河西君が聞いた。
私の上に乗っかったまま。
加藤さんは、河西君の問いには答えず……まるでゴミかゴキブリでも見るかのような目で私を見下ろした。

「おい……高井……河西……君たち何やってる……？」

なんか、めちゃくちゃ怒ってる……！？
しかも、なんだかんだで呼び捨てなんて初めて……！？
で、でも私……ちゃんと言われた仕事は終わらせてからここに来てるから、問題はない……はず！

「あの、加藤さん！私」

仕事は終わらせてきました、と言葉を続けようとしたところ

「加藤さん、早く」

井上さんが加藤さんのスーツの裾を引っ張って急かした。
加藤さんは

「ちっ」

と軽く舌打ちをすると

「行こう」

と私と河西君を無視して奥に入っていった。

「誰なんすか？あのイケメン」

早瀬君が、ひょっこりと聞いてくる。

「あれが、今、高井さんが愚痴ろうとしていた人だよ」

河西君が、私の体から離れながら余計な説明をしてくれた。

「へえ！？そうなんすか！」
「あ、私聞いたことあります〜。すごい仕事ができる加藤さんっていうイケメンが、お二人の部署にいるって〜。なんか〜ファンクラブみたいなのがあるんですよ〜。私も誘われたんですけど……知らない人だったんでお断りしちゃいました」

CAにもファンクラブがあるとか……どこまであの男は……！

「すごいな……彼、若いんだろ？」

元木さんもいつの間にか、話に入ってきた。

「確か28歳とか……」
「俺が28歳の時……何やってたかな……お客様に怒られてばっかりだったかな……」

元木さんが、注文パネルを操作して、日本酒を注文した。度数が強そうなやつだ。
それを言うなら、私も28歳の頃何してたかな……。
定時退社できて、ぼーっと家でテレビとか見てるだけだったかな。
あと、同僚や先輩達とご飯食べに行ったり……。
……何やってたんだろ、私……。
って！そうじゃなくて！！

「早瀬君！強い酒！頼んで！」
「りょす〜」