助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
「あの男……何?」
「あの男……?」

河西君は名指しだったから、それ以外の人ってことだよね……。
私が心当たりを探っていると

「ちょっと、何をしてるんですか!」

加藤さんが、私の服を脱がそうとしていた。

「ベタベタ触らせて……」

ベタベタ?
触らせた……?
……あ。
もしかして……。

「早瀬君の事……ですか?」

確かに、肩寄せてなでなでしてやったなぁ……お姉さんとして弟を可愛がるような感覚で。
あと、加藤さんが入ってくる前、軽くスキンシップはされそうになったけど……。
でもメインでスキンシップしてたのは三条ちゃんだし……。

「……名前なんかどうでもいい……」
「さすがにそれ失礼!」
「あんな奴の名前なんかに、大事な脳のキャパシティ渡せるわけないでしょう」

すごい言われようだな。

「そもそもさ、高井さん」

出た。
この言い回し。

「セクハラされてるのに、気づかなかったの?」
「セクハラ……とは?」

セクハラ。
つまりセクシャルハラスメントの略。

「本当に、底抜けの、救いようのない馬鹿なの?ここまで言って、わかんない?」

馬鹿なのかはともかく、加藤さんが言わんとしていることの意図が全くわからない……。

「あの……早瀬君は別にセクハラなんて」
「君にキスしようとしてたじゃないか!こうやって」

そう言うと、加藤さんが唇を近づけてくる。
あともう少しで、加藤さんの唇と私の唇が当たりそう。

というか加藤さん。
あなたのこれは、セクハラではないんですか……!?
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