助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
「お、落ち着きましょう、加藤さん!!ね!?」

私は加藤さんの胸を押して、ギリギリ、口と口がくっつくのを阻止した。
が……、加藤さんは不機嫌そうに私の服のボタンを外してくる。
もう片方の手で、私の肩をしっかりとソファに押さえつけている。
この細身のどこに、こんな力があったというのか……!?

「だから、ほんともう、何してるんですか!こっちの方がよっぽどセクハラじゃないですか!」

私は、全力で抵抗した。
いきなりの展開で混乱していたのもあるが、この上司をセクハラで訴える……ということをしたくなかった……。
まさに、部下心、というやつだ。

「その服、絶対捨てて」
「な、何でですか!」

バーゲンで定価の3割引で買ったとはいえ……お気に入りの服の1つだ。

「人の服のこととか、さっきから何ですかいちゃもんつけてきて!もう、本当にどうしたんですか!?」
「君こそ頭がイカれてるよ」

馬鹿の次はイカれてる。
語彙力が小学生になっている。

「馬鹿だのイカれてるだの、部下をいちいち言葉で攻撃して……楽しいんですか?」

私がそう言うと、加藤さんが底抜けに大きなため息をついた。

「さっき、あの男なんて言おうとしてたと思う?」
「さっき……?」
「ホテルって言ったんだ!君は、あの男に連れ込まれそうになったんだ!」

……そもそも今、私連れ込まれてますよね?
自分のこと、棚上げですか?

「たっ、確かにデートについては了承しましたけど」
「ああ?」

声!声がめっちゃ怒ってる!?
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