助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
そして帰り道。
やっぱり……気まずい。
ものすごーく。
せめて直帰さえ出来れば、加藤さんと離れられるのに……。
残念ながら、日はまだ高い。
つまり、このままオフィスにとんぼ帰りしなければならないのだ。
そして今、YAIDAから出た後、電車に乗っている。
ぽんぽこの謝罪訪問の時と同じように、真横に加藤さんがいる。
あの時知った、ミントの香りがどんどん私の体に入ってきてしまう。
意識を、嫌でもしてしまう。
無言でいることが、怖くなってしまう。
「あの、加藤さん……」
「何?」
「さっきの件ですが……」
私が話そうとした内容を察知したのか
「ここ、電車だから」
とシャットアウトされた。
ああ、そうか。
さっきの件は、表で決して話してはいけない、シークレットな話。
もし外部に漏れでもしたら、数億の損害賠償は覚悟しなければいけない。
そんなことにすら気づかない程、私の頭は今混乱によりまともに働くなっていた。
「スマホ出して」
突然、加藤さんが話しかけてきた。
「え?」
「いいから、早く出して」
「あ、はい!」
私は、会社で支給されているスマホを取り出した。
「違う」
「え?」
「LINE入ってる方、出して」
LINEは、会社携帯では基本禁止になっている。
どうしてもクライアント都合で、LINEで連絡を取らなくてはいけない場合のみ、上に申請書を提出して初めてダウンロードが可能になる。
そして私のクライアント先とのやりとりは、もっぱらメールのみ。
つまり……。
「ぷ、プライベートの……ですか?」
加藤さんは、こくりと頷く。
私のプライベートスマホは、もっぱら乙女ゲームに支配されている……。
待受も、お気に入りゲームの推しキャラスチルの画像になっている。
それにカバーも……自分のテンションを上げるためにと買った、30代半ばの女が使うには可愛すぎるかもしれない、リボンやレースで飾ったピンク色のもの。
ちなみに、便利なことに、鏡やカードケースはついている。
「……理由聞いてもいいですか?」
「上司命令」
抵抗することすら許されない言い回しを使われた。
仕方がなく、プライベート用スマホを鞄の奥底から取り出した。
加藤さんは、私がスマホのロックを解除したのを見てすぐに、私の手から奪った。
「何するんですか!」
「それとこれ預かって」
加藤さんはひょいと、自分のスマホを私に預けた。
それからささっと、私のスマホを操作し始める。
うわー……数々の乙女ゲームのアプリのメニューが見られている……。
何より、待受画像の二次元イケメンが加藤さんと見つめ合っている状態になっている。
無表情なだけに、今加藤さんが何を考えているのか、マジで分からない。
きっと加藤さんは、こっち側の人間ではない。
なのでこういうスマホの中身は、さぞドン引きなんだろうな……。
私は、あまりにもシンプルで、かつビジネスに特化した、加藤さんのスマホと見比べて、落ち込んでしまった。
「高井さん」
加藤さんは何事も無かったかのように、私にスマホを返してきて、自分のスマホを取り戻す。
加藤さんが私のスマホで何をしたのかは、その5秒後には分かった。
加藤さんが自分のスマホを操作するとすぐ、LINEの着信が入った。
見てみると、「加藤涼介」という名前のLINEのお友達が追加されていた。
そして1つ、加藤さんが押したとは思えないような、最近人気のゆるキャラの「よろしくね」スタンプが押されていた。
やっぱり……気まずい。
ものすごーく。
せめて直帰さえ出来れば、加藤さんと離れられるのに……。
残念ながら、日はまだ高い。
つまり、このままオフィスにとんぼ帰りしなければならないのだ。
そして今、YAIDAから出た後、電車に乗っている。
ぽんぽこの謝罪訪問の時と同じように、真横に加藤さんがいる。
あの時知った、ミントの香りがどんどん私の体に入ってきてしまう。
意識を、嫌でもしてしまう。
無言でいることが、怖くなってしまう。
「あの、加藤さん……」
「何?」
「さっきの件ですが……」
私が話そうとした内容を察知したのか
「ここ、電車だから」
とシャットアウトされた。
ああ、そうか。
さっきの件は、表で決して話してはいけない、シークレットな話。
もし外部に漏れでもしたら、数億の損害賠償は覚悟しなければいけない。
そんなことにすら気づかない程、私の頭は今混乱によりまともに働くなっていた。
「スマホ出して」
突然、加藤さんが話しかけてきた。
「え?」
「いいから、早く出して」
「あ、はい!」
私は、会社で支給されているスマホを取り出した。
「違う」
「え?」
「LINE入ってる方、出して」
LINEは、会社携帯では基本禁止になっている。
どうしてもクライアント都合で、LINEで連絡を取らなくてはいけない場合のみ、上に申請書を提出して初めてダウンロードが可能になる。
そして私のクライアント先とのやりとりは、もっぱらメールのみ。
つまり……。
「ぷ、プライベートの……ですか?」
加藤さんは、こくりと頷く。
私のプライベートスマホは、もっぱら乙女ゲームに支配されている……。
待受も、お気に入りゲームの推しキャラスチルの画像になっている。
それにカバーも……自分のテンションを上げるためにと買った、30代半ばの女が使うには可愛すぎるかもしれない、リボンやレースで飾ったピンク色のもの。
ちなみに、便利なことに、鏡やカードケースはついている。
「……理由聞いてもいいですか?」
「上司命令」
抵抗することすら許されない言い回しを使われた。
仕方がなく、プライベート用スマホを鞄の奥底から取り出した。
加藤さんは、私がスマホのロックを解除したのを見てすぐに、私の手から奪った。
「何するんですか!」
「それとこれ預かって」
加藤さんはひょいと、自分のスマホを私に預けた。
それからささっと、私のスマホを操作し始める。
うわー……数々の乙女ゲームのアプリのメニューが見られている……。
何より、待受画像の二次元イケメンが加藤さんと見つめ合っている状態になっている。
無表情なだけに、今加藤さんが何を考えているのか、マジで分からない。
きっと加藤さんは、こっち側の人間ではない。
なのでこういうスマホの中身は、さぞドン引きなんだろうな……。
私は、あまりにもシンプルで、かつビジネスに特化した、加藤さんのスマホと見比べて、落ち込んでしまった。
「高井さん」
加藤さんは何事も無かったかのように、私にスマホを返してきて、自分のスマホを取り戻す。
加藤さんが私のスマホで何をしたのかは、その5秒後には分かった。
加藤さんが自分のスマホを操作するとすぐ、LINEの着信が入った。
見てみると、「加藤涼介」という名前のLINEのお友達が追加されていた。
そして1つ、加藤さんが押したとは思えないような、最近人気のゆるキャラの「よろしくね」スタンプが押されていた。