助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
「加藤……さん……?」
「大丈夫か!?」

加藤さんは、力が抜けて地べたに座り込んでしまった私を、自分の胸に引き寄せる。

「どうして……ここに……」
「君の後をつけてきた」
「え!?」
「話は後だ。まずはこいつ、片付ける」

加藤さんはそう言うと、右手を上げた。
するとその瞬間、駅員だけでなく、警官も駆けつけた。

「どうして……」

私が加藤さんに尋ねると同時に

「貴様ぁ……!!私にこんなことして、どうなるか分かってるんだろうな!?」

鮫島が、加藤さんに殴られた頬を抑えながら、加藤さんを睨みつけている。

「いいのか!?私を逮捕すると、お前らにでっかい金は入ってこないぞ!?」
「そ、そうですよ加藤さん……!この人のスキルは……」
「YAIDAの方にはすでに事情を説明した。内定取り消しという形になるそうだ」
「……何だと?」
「しかもあんたの話は……他社の知り合いから聞いたよ。……常習だろ?少し洗っただけで、あんたの悪い噂、ゴロゴロ出てきた」
「くっ……!」

加藤さんは、私を自分の背中に隠しながら

「確かにお前のスキルだけは、一流品だ。YAIDAが欲しがるくらいの。だがな……あそこは……人柄でも一級品しか欲しがらないんだ」

加藤さんは、今まさに立ち上がろうとする鮫島に、もう一発グーパンチをお見舞いさせた。

そして……

「豚箱行きな、カスが」

そう加藤さんが言ってすぐ、警察が鮫島を連れていってしまった。
駅員も、その後に続いて、行ってしまった。
その結果。
ホームにちらほらいる客を除けば……久しぶりに2人きりになってしまった。
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