食人姫と殺人鬼
柳さんが助けてくれた、次の日。
いじめのターゲットは柳さんへと変わっていた。
これまでのことは無かったかのように、私は全く相手にされなくなり、代わりに柳さんがトイレに呼ばれたり、休み時間の度にどこかへ連れていかれていた。
その度にボロボロになって。
さらには「柳夕貴はビッチ」「淫乱」なんて、在らぬ噂が流れるようにも。
そして私は、何も出来なかった。
柳さんの傷つく姿を見ては、心は痛めても、行動に移すことは出来なかった。
助けてくれたのに、私は何も……見て見ぬふり。
また、いじめられるのが怖かったから。結局私も自分が可愛い、弱虫なのだ。