食人姫と殺人鬼
星の言う通り床はかなり古くなっており、時々キシキシと音が鳴って肝を冷やしながら歩く。
雰囲気はさながら、ホラーハウス。今にも背後に幽霊が立っているのではないかと思えるほど、不気味な闇が広がっている。夏の季節のおかげで日が暮れるのが遅いから、まだうっすら明るいのが救いだ。
それにしても30分だけなこともあり、さすがに全部屋は見切れない。そもそも屋敷自体が広すぎる。各階はもちろん部屋が何部屋もあるし、窓から外を見る限り、別館もあった。
とんだ金持ちだな……。
「……とりあえず、この部屋入ってみよっか」
後ろを着いてくる花見さんに話しかけたが、「じゃあ私はこっちの部屋見てみるね」と、まさかの返答が。
あ、一緒に部屋を散策するんじゃないのか……と思ったが、さすがにそれを言うのは恥ずかしいと思い、黙っておく。
花見さんが部屋に入るのを確認して、俺も入室。
想像通り、中は埃臭く蜘蛛の巣や物も乱雑に散らかっていた。