食人姫と殺人鬼



微妙に気まずい空気のまま、廊下を歩く。


少し冷静になれば花見さんが、他の離れた部屋を探索していることぐらい、思いついただろうに。そもそも部屋を離れるなら、ひと声かけてくれても良かったのでは。

と、ぐるぐる一人言い訳を思いついては、消えていく。

これも全部、この館から溢れ出る、気味の悪い雰囲気のせいだな。ぜったい。


ふと、前を歩いていた花見さんが足を止めた。


「───ねぇ、高田くん」


一瞬気づくのが遅れて、彼女に追突しそうになる。

薄暗い闇の中、振り返る彼女の表情はあまり見えなくて、何を考えてるのか分からない。

だから俺は固まってしまった。




「高田くんは、柳さんのことどう思う?」




……その唐突な質問に。



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