食人姫と殺人鬼
「だから、悔しくて…!皆、柳さんの死に無関心だし、どうでもいいみたいに振る舞うし。死んだ後も大利さんたちの都合のいいように話が進んでる。その上、遺体まで無くなるなんて…。柳さんは何も悪くないのに、酷すぎるよ…!」
花見さんの声は震えていた。悔しさが溢れんばかりに。
もちろん俺も柳の自殺には納得が言っていない。
そもそも自殺の動機が薄すぎる。いじめはなしと判断されたが、じゃあ逆にどんな理由で自殺したことになるんだ?
適当に大人たちは、柳の貧しい家庭環境や生活を理由にしていたけど、そんなはずない。
誰かがいじめの真相を公にしないと、柳が浮かばれないだろ。
「だから私、柳さんの事件いろいろ調べてみようと思って」
「そうだな…。俺も協力するよ」
「え?」
俺の発言に少し意外そうな顔をする花見さん。
「手伝ってくれるの?」
「あぁ。俺も柳の件は疑問があるし、行動に移そうと思っていたんだ」
花見さんが相談してくれたことで、より俺の決意が固まった。
いつまでも傍観者を気取ってはいられない。
俺と柳が過ごしたあの日々は、決して偽りなんかじゃないのだから。