食人姫と殺人鬼



「でもどうやっていじめの証拠を集めるんだ?」

おそらく大利たちは巧妙に隠れて実行していたから、証拠らしい証拠がない。それにクラスの連中は言いくるめられているだろうし。

「うん、実は…私がいじめられていたことを告白しようと思ってるんだ」

「え、花見さんもいじめられていたのか?」

「知らなかったの?」

「ごめん」

こういうところで、人に関心が無いことの障害が出る。柳としか交流が無かったから、他の同級生のことは気にも止めていなかった。

「私自身、いじめられていたことを家族や先生に言えなかったから、この機会に全部話そうと思う。そうすれば少なからず先生たちも大利さんたちを無視するわけにはいかないでしょ?」

「それはそうだが、花見さんのリスクが大きくなる」

どうせ、チクったとかで大利たちが黙っていないだろ。また花見さんにいじめの矛先が向くに違いない。

でも、彼女の固い決意は強く瞳に現れていて。


「そんなの全然いいんだよ」

そう、言い切った。


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