食人姫と殺人鬼
「それぐらいしないと、柳さんに申し訳ないから」
彼女の表情は懺悔と後悔が入り交じったような、複雑なものだった。しかし、パッと花見さんは表情を切り替えた。
「それにね、いじめのこと証言して大利さんたちが私に何かしてくれれば、その現場を動画に撮ったり録音したりできるじゃない?今度こそ、確実な証拠になるよ!」
まさかそこまで、花見さんが自分を犠牲にして計画的に考えていたとは思わず、目を丸くする。
やっぱり彼女も俺が知らないだけで、何かしら柳と関係があったに違いない。
そうでもないと憧れだけで、一クラスメイトにできる行動じゃない。
「あと、気になるのは柳さんの遺体が消えたことだよね」
「そうだな…。でも誰かが盗んだとしか考えられないよな」
「だよね…。実は生きてましたとか、そんな非現実なこと起こるわけないし…」
2人でうーんと頭を悩ます。
盗んだとしても一体誰が…?そんな事をして得をする奴がいるとは思えない。いるなら柳にストーカー並に執着していた誰かだが…。
「そっちは俺の方でも調べてみるよ」