食人姫と殺人鬼



今思えば、俺は柳のことを何も知らない。知っていることと言えば、読書が好きということくらい。

警察からの情報で初めて柳の家庭が裕福とは言えないことを知った。もしかするといじめ以外で俺が知らない人間関係に悩まされていたのかもしれない。

明日からでも柳のこと、自分なりに調べてみよう。




「───あ、そろそろ時間じゃない?」

話し込んでいたからか時間の感覚を忘れていた俺は、花見さんの発言でハッとする。

スマホの時間を確認すれば、集合時間の5分前だった。

こんな不気味な屋敷で時間を忘れるというのも不思議な話だけど。

「そろそろ、戻ろうか」

「うん。高田くん、柳さんのことこれからよろしくね」

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