食人姫と殺人鬼



遅れたらうるさく言われると思い、急ぎ足で集合場所の入口前に到着すれば、


「2人とも遅すぎっ!!はぁ〜もう帰りたいんですけどぉ」


結局、大利に文句を言われた。

「いや、お前は早く戻りたすぎなんだよ」

「だって怖いし、何もないからつまんないもん」

笠原・大利の会話から察するに、大利が駄々をこねて早めに集合場所に連れてこられたのだろう。

笠原はやや不満げだ。

しかし、周りを見渡すと1人足りないことに気づく。





「なぁ、佐藤は?」


俺は松本に声をかけた。

ペアの松本が戻ってきているのに佐藤がいないのはおかしい。

「別行動だったから知らん」

「いや、別行動って……」

松本はどうでもいいと言いたげに、メガネを上げながら顔を逸らした。

「あいつ、開始15分ぐらいで「もうやめる〜」って言って星のとこ戻っていたからな」

「うーん、俺のところには来てないけどなぁ」

松本の発言に、星が首を捻る。


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