食人姫と殺人鬼
「広いから迷ってんじゃないのぉ〜?つーか松本、ペアなんだから責任持って探しに行きなさいよ」
「はぁ?あいつが勝手に離れていったんだから俺は関係ないだろ」
「そんな事言ってビビってんでしょ?男のくせに頼りないわね!」
「それジェンダーハラスメント。昭和のおっさんかよ」
「うざっ」
横で大利と松本の小競り合いを聞きながら、どこにいるのか連絡を取ればいいだろと思い、スマホを開いたが。
「……圏外かよ」
案の定、連絡手段は遮断されていた。
星が俺のスマホを覗いて「ここ、電波届かないんだよね」と呟いた。
不気味な屋敷、行方不明者、圏外……いよいよホラー映画あるあるの展開になってきたな。
嫌な想像が頭をよぎる。
いや、確かに気味の悪い雰囲気は漂ってるけど、幽霊の気配なんか微塵も感じなかったぞ…。