食人姫と殺人鬼
そして、そうこうしているうちに15分が経ったが、佐藤は帰ってこなかった。
「…探しに行こう。怪我とか具合が悪くなったりしているかもしれない」
星の提案に皆、重い腰を上げる。
「チッ、だりぃな」
「どうせ久美子のことだし、ビビって泣いてんのよ〜」
「はぁ…佐藤と組むんじゃなかった」
いつも4人でつるんでいるのに、散々な言いよう。コイツら、友達やめろ。
それぞれ探す場所は、最初と同じ探索場所を同じペアで。そして、佐藤の代わりに星が1階を松本と探すことに。
こんなに早く、また3階に戻ってくることになるとは思わなかった。
確かに各階、等しく広いし入り組んでいて、方向音痴だとしたら迷うのも無理ない。大方、自分がどこから来てどこへ戻るべきなのかわからなくなって、途方に暮れているんだろう。
「…まさか、本当に幽霊がいたりしないよな?」
「や、やめてよ」
俺の言葉に、花見さんが怪訝な顔をする。
「だ、だよな。いるなら、1人行動していた探索の時間に出てきてもおかしくないし」
「私も幽霊とか全然遭遇しなかったし。そもそも霊感ないから!」
2人で、幽霊なんていないと、無理やり納得させる。
それにしても佐藤いないな…。広すぎて見つかる気がしない。