食人姫と殺人鬼
side佐藤久美子
「待ってよ、歩くの速いんですけど!」
「だったら喋ってないで足動かせよ」
ついていないことに、私は今、超絶つまんない男・松本となぜかボロボロの屋敷を歩いている。
心霊スポットとか全然興味無いし、むしろ怖いの苦手なのに。
瑠璃だって怖いの無理なはずなのに、笠原の誘いに乗っちゃってさ。彼氏の好きなようにさせすぎだっての!
と、内心不平不満をタラタラと唱えながら、はぐれないように松本の背中を追う。
ほんと、、最悪。早く帰りたい。
「あーあ…星くんと組みたかったなー」
「だったら星と一緒に入口で待ってれば良かっただろ」
「だってぇ、せっかく星くんが連れてきてくれた屋敷なんだから、少しぐらい探索しないと申し訳ないでしょ?」
「その謎の気遣いはなんなんだ…」