食人姫と殺人鬼



それにしても、夏だというのに、少し肌寒い。屋敷全体を囲うように木々に囲まれているから涼しいのかも。

それにこの微妙な寒さと合わさって、薄暗い暗闇が、不気味な空間をさらに際立たせている。

今にも後ろから幽霊が現れてもおかしくない、ホラーさながらの雰囲気がある。だから怖くて後ろを振り返れない。

そして何もすることがないので、探索を進める松本を見ていることしかできない。コイツ、意外と楽しそうじゃん……。


「ねぇ、もしかして心霊系好きなの?」

「いや、違うが」

と否定しつつも、ワクワクさを隠しきれていない松本。

松本にも喜楽の感情があったとは驚きだ。いつも呆れるか怒っているかぐらいの表情しかしていなかったから。

「でもまぁ、興味深くはあるな。普段来れないような場所だし」

「ふーん、私は早く帰りたいけどね」

「これ、見てみろよ」

そう言われ松本に続いてある一室に入る。


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