食人姫と殺人鬼



蜘蛛の巣も埃もいっぱいで汚れまくっているけど、どうやらそこは厨房らしき場所だった。

使われなくなって錆び付いたフライパンや鍋が飾られており、もう絶対切れが悪くなっているであろう包丁もズラリと。

レストランの裏側のようなキッチンスペースが広がっている。

「すご〜お金持ちすぎる」

こんなに広い台所があるなんて、きっと使用人が何人もいたんだろうな。

「しかもこれ、石窯じゃないか。中世ヨーロッパのような作りだな。実に面白い」

目を輝かせる松本を、へぇ〜と無感情で眺める。どことなく鼻息も荒い。

確かに、昔のお城にありそうなキッチンだけど。古い和風なThe日本様式とは違う感じ。でもそこまで興奮するほどかな。

「火加減が自力式で難しいから、この壁に炭がこびりついている感じも、リアルだ…」

「ふぅ〜ん」

「歴史博物館でもこんな間近で見れないぞ」

はいはい、そーですかと心の中で雑に頷きながら、ふとスマホ画面を覗くと。


……げ、まだ開始10分ちょっとしか経ってない。


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