食人姫と殺人鬼



こんな薄暗くて気味の悪い場所だけど、やっぱり星くんはかっこいぃ。輝いて見える。

クラスの顔面平均以下の男たちとは違う。サラサラヘアーで顔は整っているし、成績も学年一。加えて、医者の家系でお金持ちだから将来も安泰。誰も言わないけど、クラス中の女子は狙っていると思う。

はあぁ〜、こんなに間近で好きな人を見つめられるなんて、眼福。


「……佐藤さん、近いんだけど」

「あ、ごめん!」

あまりにも近くで見つめすぎて、星くんに引かれてしまった。

いけないいけない。せっかくのチャンスなんだからアピールしないと。


「ねぇねぇ、星くんの趣味は何?」

「趣味?……んー、人間観察、かな」

「何それ、星くんおもしろーい」

「いやいや、人を観察するのって結構楽しいよ」


例えば佐藤さんは…、と星くんに見つめられてドキッとする。


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