食人姫と殺人鬼
「つーか、見たかったなぁ。柳の死体」
不意に聞こえた笠原の言葉。
声量は変わらないのに、今のシーンとした教室にはいつもにも増してハッキリと響き渡った。
…信じられない。不謹慎にも程がある。
「ちょっとぉ!何言ってんの、めっちゃグロかったんだから!!トラウマものよっ」
すかさず大利が反論していたけど、それは柳さんを思っての言葉ではない。
「えー?人が死ぬとことかとか滅多に見れねぇよ。羨まし〜」
「お前サイコパスだな」
「え?俺ってサイコだったの?」
「彼氏がサイコとか怖いんですけどー!」
ギャハハハと下品な笑い声が響き渡る。
私は悔しさで握った拳が痛かった。この人たちがいなければ、柳さんは死ななかったかもしれないのに。