食人姫と殺人鬼



そうして、星くんに連れてこられたのは、2階のとある部屋。

「ここ、実験室なんだよね」

確かに言われてみれば、理科室とかで見るような器具がたくさんある。棚には見たことも無い薬品が並んでいる。

……あれ?この部屋は比較的綺麗だな。埃が被っていない。それに妙に生活感があるのはなんなの……。

「……ってか、匂いキツっ」

「はは、薬品も古くなってるからね、腐ってるのかも」

と、星くんは笑っているけど、この匂いは無理すぎる。これまで嗅いだことない、湿ったような生臭いような、そんな独特の匂い。

「え、ここが星くんの好きな部屋なの?」

「うん。こういう実験室って楽しくない?」

「…うーん、ドウカナ……」

星くんの趣向がわからない。

「あ、こっち来てみて」

星くんに続いて、さらに部屋の奥へ進む。

ま、これも恋の試練と思えば、耐えることくらい何ともないよね。

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