食人姫と殺人鬼



全身を駆け巡る、これまでに経験したことのない激痛。

反射的に叫び声を上げそうになったが、瞬時に星くんの手に口を覆われ阻止される。

「ゔぅ〜っ、!!!んーーー!!、」

ゆっくりと首に侵入してくる鋭利なもの。それに伴い私の中からドクドクの溢れ出る真っ赤な血。

必死の抵抗で足をばたつかせ、星くんの手を退かそうと引っ掻いたりしているが、彼には全く効果はなくて。

制服が血で染め上げられていくのを眺めていることしか出来ない。


「ここの床、他の部屋の木製のものとは違って、ビニル系シートが使われているから汚れが落ちやすいんだよね」

星くんの話なんて頭に入ってこなくて。

死という言葉が脳裏に浮かんでは、痛みで掻き消されるのを繰り返す。

「実験室だから汚れてもすぐに落とせるようにしてるんだろうね。だから僕も助かっててさぁ」

メリメリと首にゆっくり突き立てられるそれは。

もう私の呼吸さえも奪っていった。

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