放課後、雨が降ったとき
なにこれ、不良超怖い。
このままどこに連れていかれるのか。
見ていただけで睨んでないし、挑発したわけでもない。
本当になにもしていないはずだけど、もしかして私は今からフルボッコにされるのだろうか。
……痛いのは嫌だから本気でやめてほしい。
不良と猫の構図に興味を引かれたからって立ち止まらなければよかった。
今更悔やんでも、もう遅いのだけど。
「着いた。これ、俺は使ってないから、お前が使え」
歩き始めて秒で着いたそこはすぐ近くにあった公園の休憩所で、雨宿りには最適な場所。
着くなり身構えた私の頭に乗せられたのは、端にスポーツ会社のロゴが入ったタオルで。
柔軟剤のいい香りがじめっとした雨の匂いをかき消す。
不良が、男子高校生が……清潔なタオルを持っているだと……?
と、ただの親切なクラスメイトに重ねて失礼なことを考えた。
「別に、このままで大丈夫なんだけどなぁ」
あはは、と。この時期とは真逆の乾いた笑いをすると彼は真顔でこちらをじっと見つめて、
「大丈夫?どこが?」
なんて何かを見透かしたように言うもんだから、面食らった。