放課後、雨が降ったとき



家の人達も、友達だった人達も。


みんな、嫌い。


血の繋がった同じ家に住む人達は暴力をふるうし、暴言を浴びせる。


仲がいいと思っていた人達は些細なことで腹を立て、調子のいい者の方につき、すぐに裏切る。



みんな、私を……一人にする。



周囲の人達に求めることなど、もうなにもない。諦めるのが賢明だ。


そうして毎日楽しいと思えることもなくて、一人ぼっちで無意味な時間を過ごしていく。


こんなの、生きている意味なんてあるのだろうか。


私が消費していく限られた資源や、こんな私を恋愛感情で好きだと言ってくれる人達の時間を無駄にしているんじゃないか。


そう思うと、ネガティブな思考は止まらない。


全身が真っ黒な靄に包まれてるみたいに明るいことなんか一つも考えられなくなる。


だから、この梅雨という時期は私の黒く染まった身体を定期的に、自然に浄化してくれるありがたいもの。


雨はいろんな不純物を含んでいて汚いらしいけど、私にとってはとても綺麗で神聖なものなんだ。


それに、私のこの悲しみとともに流れる涙を隠してくれるから。


雨の中でなら、思いきり泣けるから。


学校の帰り道。雨の日の放課後。


私の唯一の、幸せな時間。


今日もいつも通りの幸せな一時を過ごすつもりだったのに。



「────俺がお前を救ってやるから。もう泣くな」



こんな贅沢な言葉を貰えるなんて、思ってもみなかった。


< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop