放課後、雨が降ったとき
そんなに私は哀れに見えるだろうか。
親しくない私に"救う"だなんて、冗談で選ぶような言葉ではない……重くて鎖で縛り付けてしまうような、そんな言葉をかけてしまうほど彼から見た私は孤独なのだろうか。
「どうしてそこまで言ってくれるの?」
上辺だけの言葉。その場しのぎの言葉。
どんな偽りも見逃すまいと、真っ直ぐ彼を見つめる。
「泣いているお前も、綺麗だと思ったから」
涙、止まったな、と続いた言葉は私の右耳から左耳へと通り抜けた。
綺麗、だなんて私に似合わない言葉を平然と、そしてその目に偽りの色は全くなく、本当にそう思ってくれているのだとわかって、意図せず顔が赤くなる。
私は綺麗よりも可愛いって言われる方で、こんなの言われ慣れてない。
ドキッと、しないはずがない。
……って、あれ。
泣いてるお前"も"?
「最初は俺とお前は同じだと思ってた。でも、見てたら全然違ってて。境遇が似てるってだけで、心の綺麗さとか強さが違うってわかったんだ」
「見てたんだ……?」
「……見てた。けど、そんな気持ち悪い感じじゃねぇから。……引くなよ」
「……ふふっ」
全然関わりのないただのクラスメイトだと思っていたのに、知らないところで見られていたなんて。
普通だったら嫌悪感を抱きそうなものだけど、相手が彼だってこともあって、意外と平気……というよりもむしろ、気づかなかった自分と健気に私を見ていたであろう彼に笑いが込み上げてきた。