6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
「はっ、……はっ」
熱い息を吐き、私の身体を揺らす彼を見上げる。
まさか、あの彼とこんな関係になるなんてつい二時間ほど前の私は想像していなかった。
その日は同期飲み会の予定だった。
大学を卒業し入社して六年。
同期のひとりは最近、課長に昇進した。
そのお祝いも兼ねているので、どうしても行きたい。
「せんぱーい」
終業まであと三十分を切った頃、後輩ちゃんがいまにも泣きだしそうな顔できた。
「先方に仕様書送ったら、規格変更を連絡したはずだけどって言われたんですが……」
「は?」
規格変更?
そんな話、聞いていない。
向こうが連絡したつもりでしていなかったとか?
「それ、締め切り、今日だったよね?」
「はい。
絶対に今日中に送ってくれって」
明日から土日でどうせ先方も休みなんだし、月曜早朝まででいいんじゃないか、なんていうのはこっちの勝手な都合だっていうのはわかっている。
でもあちらの担当はいつもなにかと嫌みを言ってくる嫌な奴なので、これくらい愚痴ってもバチは当たるまい。
「よし、やるよ。
ふたりでやればすぐに終わるから」
早速、データを開き、準備をはじめる。
熱い息を吐き、私の身体を揺らす彼を見上げる。
まさか、あの彼とこんな関係になるなんてつい二時間ほど前の私は想像していなかった。
その日は同期飲み会の予定だった。
大学を卒業し入社して六年。
同期のひとりは最近、課長に昇進した。
そのお祝いも兼ねているので、どうしても行きたい。
「せんぱーい」
終業まであと三十分を切った頃、後輩ちゃんがいまにも泣きだしそうな顔できた。
「先方に仕様書送ったら、規格変更を連絡したはずだけどって言われたんですが……」
「は?」
規格変更?
そんな話、聞いていない。
向こうが連絡したつもりでしていなかったとか?
「それ、締め切り、今日だったよね?」
「はい。
絶対に今日中に送ってくれって」
明日から土日でどうせ先方も休みなんだし、月曜早朝まででいいんじゃないか、なんていうのはこっちの勝手な都合だっていうのはわかっている。
でもあちらの担当はいつもなにかと嫌みを言ってくる嫌な奴なので、これくらい愚痴ってもバチは当たるまい。
「よし、やるよ。
ふたりでやればすぐに終わるから」
早速、データを開き、準備をはじめる。
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