6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
「そーですねー」

平然と言われた嫌みに棒読みで返してやる。
なんだかそういうのがおかしくて、ふたりで笑っていた。

食後の片付けは一緒にやった。

「ごめんね、朝食まで。
おいしかった」

「いや、いい。
どうせ浅井、ろくなもん食ってないだろ」

「うっ」

ええ、日頃から料理なんてあまりしませんが?

片付けが終わり、清水が身支度をはじめる。
思わずそれに携帯をかまえた。
すぐに室内にシャラララララ……と連写の音が響く。

「なあ。
それはなにをしているんだ?」

「え?
いや、ごちそうさまです……!」

だってさ、いい男が袖口のボタンを留めたり、ネクタイを締めたりする仕草って、めちゃめちゃ色っぽくないですか……?
私は大好物です!

「はい、ぼっしゅー」

「えっ、ちょっ、返して!」

清水の手が私の携帯を奪っていく。

「ふうん。
浅井ってこういう趣味なのな」

「なに?
悪い?」

変態と言われようと関係ない。
私はスーツの男が好きなのだ。
それがスタイルも顔もいい男となれば最高に決まっている。

「他の男の写真もこうやって撮ってるの?」

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