6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
「いや、それはさすがに変質者だし」

そこは即答した。
私は変態だが、人に迷惑をかける変質者にはなりたくない。

「その割にはスーツの男の画像がいっぱいだが?」

「そ、それは、……SNSとかで集めた奴だし。
生スーツ男性は、いまの清水だけ……」

なんでこんなことを告白させられなきゃならん?
しかも〝生スーツ男性〟ってなんだ?

「てか、いい加減に携帯返してよ」

「絶対に俺以外の写真を撮らないと約束するなら返してやる」

「は?」

なにを言いたいのか理解できない。
なんで彼以外の写真を撮ってはならん?

「約束するなら浅井に好きなだけ写真撮らせてやるが?
着るところだけじゃなく、……脱ぐところも」

清水が顔を近づけ、耳もとで囁いて離れていく。
レンズ越しに目があって、にやりと片頬を歪めて笑う。
脱ぐところ?
想像したら最高すぎて、鼻血が出そうな気がして思わず手で押さえていた。

「てかなんでそこまでするのよ?」

こんなの、清水のなんのメリットもないので、なにか企んでいるとしか思えないんだけど。

「だからー、六年待ったと言っただろ?」

いやだから、なにを?

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