6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
ウブな女子高生じゃないんだからそれくらい言えよ!とは思うが、どうしても言えない。
少し考えて目の前にあるネクタイを掴み、清水の顔を引き寄せる。
なにが起こっているのかわかっていない彼に、自分から口付けをした。

「す、好き、だから!
清水が!
本当は六年前から!」

声は裏返り、あまりにも格好悪い。
しかしこれが、いまの私にできる精一杯だった。

「可愛いな、浅井は!」

「えっ、あっ!?」

いきなり清水から抱き締められた。
くるしいけれど、嬉しい。

「じゃあ無駄にした六年分、これから埋めていかないとな」

清水の両手が私の頬を挟み、額をつけて私をうかがう。

「そうだね」

あの頃、もっと私が素直だったら、こんなに遠回りしなくて済んだのかな。
でも清水は惚れ直したって言っていたし、いまの私を好きになってくれた方が嬉しい。

「浅井が好きだ」

「私も清水が好き」

眼鏡を外した清水の唇が重なった。


【終】
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