6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
あたまを下げる後輩に手を振り、会社を出る。
恵美からの返信はまだいるとのことだったので、足早に同期飲み会が行われている居酒屋へと向かった。
「ごめーん、遅くなった!」
「未咲、おつかれー」
恵美が少し詰め、空けてくれた隙間に座る。
今日の飲み会参加者は私を入れて六人だった。
「すみません、レモン酎ハイ」
すぐに来た店員に飲み物を注文する。
テーブルの上は食べ物が少なく、もう終盤に入っているようだ。
「今日、残業ないんじゃなかったっけ?」
「あー……ちょっと」
言葉を濁し、届いたレモン酎ハイに口をつける。
「あ、俺が通りかかったとき、後輩からなんかあやまられてたけどあれじゃないか?」
言わなくていいことを言う山田を無言で睨む。
しかしここまで言われてだんまりはできない。
「……後輩がちょいミスして、フォローしてただけだよ」
「未咲も大変だねー。
私もさー」
後輩のミスにいかに自分が迷惑しているかという話がはじまり、手もとのレモン酎ハイへ視線を落とす。
だから言うのは嫌だったのだ。
私は大変とか迷惑とか思っていない。
恵美からの返信はまだいるとのことだったので、足早に同期飲み会が行われている居酒屋へと向かった。
「ごめーん、遅くなった!」
「未咲、おつかれー」
恵美が少し詰め、空けてくれた隙間に座る。
今日の飲み会参加者は私を入れて六人だった。
「すみません、レモン酎ハイ」
すぐに来た店員に飲み物を注文する。
テーブルの上は食べ物が少なく、もう終盤に入っているようだ。
「今日、残業ないんじゃなかったっけ?」
「あー……ちょっと」
言葉を濁し、届いたレモン酎ハイに口をつける。
「あ、俺が通りかかったとき、後輩からなんかあやまられてたけどあれじゃないか?」
言わなくていいことを言う山田を無言で睨む。
しかしここまで言われてだんまりはできない。
「……後輩がちょいミスして、フォローしてただけだよ」
「未咲も大変だねー。
私もさー」
後輩のミスにいかに自分が迷惑しているかという話がはじまり、手もとのレモン酎ハイへ視線を落とす。
だから言うのは嫌だったのだ。
私は大変とか迷惑とか思っていない。