6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
けれど限界を超えた身体はそのまま急速に眠りへと沈んでいき、彼がなにを言ったのかわからない。



朝、清水に起こされた。

「もうすぐ朝食できるから、そろそろ起きないか?」

無言で起き上がり、寝起きのあたまでなんで清水が?なんて考えてようやく、昨晩のことを思いだした。

「……おはよう」

「おはよう。
シャワー、浴びてこい?
そのあいだにできあがるから」

「そうさせてもらう」

浴室を借りてシャワーを浴びる。
今日が土曜でラッキーだ。

「たいしたもんじゃないが、どうぞ」

身支度を整えた頃にはテーブルの上には朝食が並んでいた。
たいしたものじゃないとか言っているが、フレンチトーストとサラダとか十分たいしたものだと思うけれど?

「いただきます」

フレンチトーストはふわとろで最高だった。
なんだこいつは、見た目、仕事だけじゃなく、料理もハイスペックなのか?

「清水、もしかして今日、仕事だった?」

「ん?
ああ。
少しだけやっておきたいことがあって」

清水は土曜だというのにワイシャツにスラックス姿だった。

「ふうん。
頑張るねぇ」

「まあ、課長ですから」

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