イケメン彼氏とはじめる相思相愛
「社内ではヒミツにして。だって、別れた時気まずいだろ。元カレとか」
「あ、私、そんな人いませんから! 」
即答。だのに、
「会社にはいない? じゃ、助かるね、ややこしくなくて」
「えっと、城戸さんはややこしいんですか? 」
「さあ、どうだろ。
もしかしてメイワクかけちゃったら、ごめんね」
「大丈夫です! ちゃんと、そんなことがあれば、必ずや応対します! 」
と妙に勢いこんで答えたら、はっ、て笑われた。
ちょっと眉を上げて、彼の薄い唇が、フッとほぐれて、彼も返答に困ったんだろう、長い指、右手の親指を唇に当てた。
付き合って数秒後にこんな顔させてしまった。
困ったよ、しょうがないな、みたいな。
前向きにする以外どうしたらいいんだろう。
えっ、、、元カノだなんて、嫌です、、、って嫉妬する?
本当、むつかしい。
なのに2年間、この人が好きだと憧れて、初恋で、晴れてこんな事になっている。
喜んでいいのか、こんなよく分からない始まり方、自分を戒めるべきなのか。
本当はこんな違うタイプと憧れみたいな恋、学生の時にで痛い目に合うべきだったのかな。
彼の真意だってちゃんと確かめるべきなのに。
こんな人が私と
なんて。
現実。
目の前に一颯が、もう彼氏として座っているんだから。
元カレなんて、人っこ一人おりません、と言いそびれたし、軽くすでに別れる前提の話をした彼。
好きだって思って、とまどうわ、って思いながら、もう胸が痛かった。