LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「にしても、あの見るからに躾の出来てない子供達。
見てみて」


久志さんの視線は、その夫婦の子供達に向いている。


それは、男の子ばかりの三兄弟。


見た感じ、その子供達は2歳差くらいなのだろうか?




その子供達は、走ったり、並んでいる料理を触ろうとしたり。


子供ってそんなもんじゃないのかな?と思うから、私は気にしないけど。


「あの夫婦自体、なんか変だから」


「変?」


特に気になる訳ではないが、相づち代わりに訊いてしまう。


「そう。
奥さんの方、なんでか旦那に敬語だし。
それを見て育っているからか、あの子供達も、母親を舐めているのが分かるし」


そう言われ、その家族の会話を拾うように、集中する。



「成瀬(ナルセ)さん。
このクリームのパスタ、けっこう美味しかったですよ」


本当だ。


奥さん、旦那さんに敬語だ。


にしても、そのナルセっていうのは名字だから、
夫婦なのにその呼び方は変かも。



だって、奥さんも成瀬だろうし。



「ヒロコ!野菜入れるなよ!」


そう言っているのは、長男と思われる男の子で。



「ヒロコ早く取れよ」


それは、次男で。


「そら君、これいらない!
ヒロコ食べて!」


それは、三男?


多分だけど、そのヒロコって、その奥さんの名前なのだろう?


母親の名前を、呼び捨て…。


一見、そこだけ見たら、
うわぁー、と思うものがあるのだけど。


その三人の子供達は、母親のドレスをギュッと掴んで離さなくて。



それに、その旦那さんである成瀬さんも、
包み込むような笑顔で奥さんやその子供達を見ていて。


この人達、幸せなんだな、って。



< 116 / 243 >

この作品をシェア

pagetop