LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「けどな。
その斗希の昔の女や広子よりも、
お前が一番、初めて見た時、グッと来た。
お前がガキの頃はなんとも思って無かったけど。
会社で見た時にいい女だなって。
でなきゃあ、一々お前の名前も覚えてねぇだろ」


その篤さんの言葉に、先程迄のショックを忘れて、喜んでいる自分がいる。

グッと来たとかいい女だと篤さんに言われて、嬉しい。


そして、篤さんは私の名前を、事前に知ってくれていた。

"ーーお前、うちの会社の奴だろ。
真壁梢…だったかーー"


「だから、もう広子の事は気にするな。
俺は現在、お前が好きなんだし」


「うん…」


篤さんの口から、そう聞けて良かった。

胸の中に有ったモヤモヤが、全部消えた。



「後、もう一つだけ白状しておく」


その言葉に、何?と怖くなる。



「俺、広子から貰ったG-SHOCKずっと使ってたんだけど。
あ、別に、それは広子に気持ちがまだ有るから使ってたわけじゃなくて。
その時計自体に愛着が湧いたから使ってただけで」


「うん…。
壊れたって嘘?」


あの、篤さんがいつも腕に付けていたG-SHOCK。


"ーー俺もずっと使ってたのが壊れて、
新しいの買おうと思ってたからーー"



「ああ。
お前と結婚するのに、俺なりのケジメで外した。
だから、俺はお前を裏切らねぇから」


「うん」


「だから、今回みたいに村上とかに聞くとかすんな。
俺に直接聞いて来い」


目の前の篤さんは、そうやって今は私の事だけを見てくれているのが伝わって来て。


「分かった」


素直に、そう頷いた。

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