ＬＯＶＥＤＡＮＧＥＲ～元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚～

「いや、何も犯すとかそこ迄はしないけど」


食品会社勤めの千林さんは、わりと常識人みたいで。


この人が、付き合っていた時もいい人だった事を思い出した。


じゃあ、なんで別れたのだろう？


あ、思い出した。


「ってか、本当にお前の事犯すか、
あの兄貴の店だとかいうイタリアンの店ぶっ潰すぞ！」


酒井は変わらず、私に怒り心頭みたいで。


「酒井さんの事俺らもちょっと怖いし、
梢ちゃん早く謝りなよ？」


初めに私に声を掛けて来た高月さんは、そう促して来るけど。


けど、今さら私がごめんなさい、って謝って、この酒井の怒りは収まるのだろうか？


「…ごめんなさい」


とりあえず、謝ってみたけど。



「は？謝ったくらいで、許すわけねぇだろ」


ほらね。


その時、ドンッという音と共に、
大きく車が揺れた。


えっ、何？とフロントガラスの向こうを見ると、
真っ正面から車が突っ込んで来たみたいで。


その車は、篤さんの黒いボルボ。


そう思っていると、そのボルボの運転席から篤さんが出て来て、
こちらに歩いて来る。


「開けろ！」


と、篤さんは後部座席のドアを開けようとしている。


けど、鍵が閉まっていてそれは開かなくて、
次第にドアをバンバン叩いたり、蹴ったりしていて。


篤さんが私を助けに来てくれてる事は頭の何処かで分かっているのだけど…。


今の私は、この元彼達よりもそんな篤さんが怖くて仕方ない。