LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~

「高杉、他の奴らもそうだが、
わざわざ来て貰って悪いけど、こいつらの事は俺がやる」


篤さんがそう言うと、高杉さんは何か言いたそうだったけど、
分かりました、と頷いた。


篤さんは、元彼達の前に立った。


ダメだと、篤さんを止めようと思うけど、咄嗟に声が出なくて。


今の篤さんが手を出して、事件とかになったら、会社自体大変な事になるかもしれない。

会長の息子の篤さん。


そうじゃなくても、やはり暴力はダメ…。


「お前ら、一発ずつ俺を殴れ」

その篤さんの言葉に、え、とその顔を見てしまう。


篤さんの顔は真剣で、座り込んでいるその元彼達を見ているが、
それは先程みたいに睨み付けているわけではなくて。


「篤、怒り過ぎて、頭がどうかしちゃったの?」


そう言うのは、ケイさんで。


黙って篤さんの事を見ている斗希さんは、
付き合いが長いだけに、篤さんのその考えを分かっているのだろう。


「別に、俺は冷静だ。
梢が男に対していい加減になったのは、俺のせいみたいだし」


"ーー私が男の人に対してそうなったのは、
篤さんのせいじゃないーー"

確かに、そうは言ったけど。


「それに、こいつらもこのままじゃやりきれねぇだろ?
こいつらの恨み、梢の旦那である俺が受け止めてやる」


篤さんがそう言うと、もう誰も何も言わない。


ただ、私は違う。


「篤さん、そんなのおかしい。
だって、この人達は私を恨んでいるのに」

かと言って、私がこの元彼達に殴られたり何かされるのは嫌だけど。


けど、篤さんが殴られる方が、嫌だ。


「お前は本当にいちいちうっせぇよな?
お前のそんな所も、好きなんだけどな」


その不意打ちのような告白で、私は照れで何も言えなくなり。


周りは、ヒューヒューとか囃し立てるように盛り上がっている。
< 198 / 243 >

この作品をシェア

pagetop