LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「高杉、他の奴らもそうだが、
わざわざ来て貰って悪いけど、こいつらの事は俺がやる」
篤さんがそう言うと、高杉さんは何か言いたそうだったけど、
分かりました、と頷いた。
篤さんは、元彼達の前に立った。
ダメだと、篤さんを止めようと思うけど、咄嗟に声が出なくて。
今の篤さんが手を出して、事件とかになったら、会社自体大変な事になるかもしれない。
会長の息子の篤さん。
そうじゃなくても、やはり暴力はダメ…。
「お前ら、一発ずつ俺を殴れ」
その篤さんの言葉に、え、とその顔を見てしまう。
篤さんの顔は真剣で、座り込んでいるその元彼達を見ているが、
それは先程みたいに睨み付けているわけではなくて。
「篤、怒り過ぎて、頭がどうかしちゃったの?」
そう言うのは、ケイさんで。
黙って篤さんの事を見ている斗希さんは、
付き合いが長いだけに、篤さんのその考えを分かっているのだろう。
「別に、俺は冷静だ。
梢が男に対していい加減になったのは、俺のせいみたいだし」
"ーー私が男の人に対してそうなったのは、
篤さんのせいじゃないーー"
確かに、そうは言ったけど。
「それに、こいつらもこのままじゃやりきれねぇだろ?
こいつらの恨み、梢の旦那である俺が受け止めてやる」
篤さんがそう言うと、もう誰も何も言わない。
ただ、私は違う。
「篤さん、そんなのおかしい。
だって、この人達は私を恨んでいるのに」
かと言って、私がこの元彼達に殴られたり何かされるのは嫌だけど。
けど、篤さんが殴られる方が、嫌だ。
「お前は本当にいちいちうっせぇよな?
お前のそんな所も、好きなんだけどな」
その不意打ちのような告白で、私は照れで何も言えなくなり。
周りは、ヒューヒューとか囃し立てるように盛り上がっている。