ＬＯＶＥＤＡＮＧＥＲ～元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚～
「次は…お前か？
立て？」

そう言って、篤さんは食品会社勤めの千林さんの前へと立った。



「あ、はい」


千林さんは、立ち上がり篤さんを真っ直ぐと見ていた。


「お前はなんで梢に振られたんだ？」


「振られた理由は大した理由ではないんです。
俺と価値観が合わないと言われて」


「そっか」


その千林さんを振った理由。


先程、車の中で思い出したが。


その価値観の違いは適当な理由で。


付き合っている時、この人がけっこういい人なのに気付いて、
なんとなく、いい加減な気持ちでこの人と付き合うのは辞めよう、って思って、振ったんだ。


「きっと、それは俺と別れる為の嘘の理由なんだと思います。
梢ちゃんは、初めから俺の事を好きじゃないのはなんとなく分かってましたから。
それなら、好きじゃないってちゃんと言って振って欲しかったんです。
一方的に、LINEをブロックして終わり、って感じで」


なんとなく、この人にハッキリと好きじゃないって言えなかった。


極力傷付けないように別れようとしたけど、逆にそうやって傷付けていたんだな。


< 203 / 243 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop