ＬＯＶＥＤＡＮＧＥＲ～元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚～
「多分、お前はいい奴なんだろうな？
梢はお前の気持ちに応えられない罪悪感に耐えきれなくて、お前の事振ったんだろうな。
好きじゃないってハッキリと言えなかったのは、やっぱりそれはお前がいい奴だからだろうな」

篤さんは、私が千林さんを振った理由を、そうやって分かっている。


「その梢ちゃんの優しさは、残酷ですよね。
いえ、優しさなんかじゃないですね。
彼女が自分勝手なだけです」

なんだか、その千林さんの言葉が、
胸に刺さり苦しいような気持ちになる。


この人には、簡単にごめんなさい、とか、謝罪の言葉が出て来ない。


「ああ。
その恨み、俺に晴らせ」


「はい。
けど、梢ちゃんが好きになった男の人があなたのような方で、
けっこうもう吹っ切れてはいます。
俺なんか足元にも及ばないくらいに素敵な人で。
俺なんか初めから梢ちゃんに相手にされるわけなんてなかったよな、って。
では、殴らせて貰います。
それで、もう梢ちゃんの事は忘れます」


「ああ」


千林さんは、前の二人と同じように、
篤さんの事を殴った。


さらに赤くなる、その左頬。


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