LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「だから、その瑛太に殴られる事が、洒落になんないって言ってんだろ!」


「うっせぇな。
俺と瑛太の問題だから、お前は黙ってろ!」


篤さんのその言葉に、斗希さんはもう何を言っても無駄なのだと諦めたのか、
再び開こうとしていた口を閉じた。



「篤さん、俺手加減とか出来ないですけど、いいんですか?」

兄は、ゆっくりと歩き、篤さんの前へ立った。



「ああ。
手加減なんかいらねぇ。
なんなら、本気以上で殴れ」


「なんなんすか?
本気以上って」


兄はそう笑っているけど、利き手の拳を握り、
もう片方の手で、篤さんの襟首を掴んだ。


兄が、拳を握る腕を大きく後ろに引いた瞬間。


兄が手加減なく、本気で殴るつもりなんだって分かった。


次の瞬間、私は怖くて、ギュッと目を瞑った。


先程の四人達とは比べものにならない程の大きな音が、響き。


目を開けて見ると、
篤さんが地面に尻をつき、兄に殴られた頬を片手で抑えていた。


私の元彼達に殴られた篤さんは、
バランスを崩す事もなく立っていられたのに。


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