LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「---やっぱり、瑛太、お前の拳が一番重いな」
そう言う篤さんの口から、口内を切ったのか、けっこうな量の血が出て来ていて。
「篤さん!」
思わず、篤さんに駆け寄ってしまう。
「お前、走んな!」
いつか言われたような台詞を、また篤さんに言われた。
流石に、お腹の小さかったあの頃とは違い、今は妊娠していると分かった上でも、そう走ってしまった。
そして、膝をつき、今も地面に座り込んだままの篤さんの、その頬に触れる。
「んな心配しなくても大丈夫だ。
幸い、歯も折れてねぇし」
篤さんは、頬に触れた私の手を握る。
本当に温かい手で、こんな状況でも、
それにホッとしてしまう。
「梢は本当に生意気な妹なんですけど。
篤さん、末長くうちの妹の事よろしくお願いします」
そう言った兄は、もう、篤さんに対して、微塵も怒ってはいないのだろう。
その言葉から、そう感じた。
「ああ。
きっと梢とは喧嘩したり泣かせたりとかこれからも沢山あるかもしんねぇけど。
こいつとは、きっと死ぬ迄一緒に居るんだろうなって思う」
その篤さんの言葉は、私に向けられたものではないけど。
いつかされた、プロポーズよりもそれらしいな、と思った。