LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「そうそう。今日、エレベーターで会長を初めて見たけど。
本当に川邊部長そっくりでビックリした」


ミヤコのその言葉で、篤さんそっくりのあの顔を思い出す。


今年のお正月。


篤さんと二人で川邊家に新年の挨拶に行ったのだけど、
その時もとても良くしてくれて。

川邊会長の奥さんも、ビックリするくらいいい人で。


そして、川邊会長の娘さん達である、篤さんの四人の妹達。

みんないい子で、末っ子の顔がとても篤さんにそっくりだった。


とても楽しい時間を過ごした。


あの、会長室へと呼ばれた日の夜。


私は会長から聞いた篤さんのお母さんの思いというか、真実を篤さんに話した。


それを聞いた篤さんは、そうか、としか言わなかったけど。


特に驚いた様子も、その話を嘘だと疑う事もなかったので。


薄々、篤さんもお母さんが何故そんな風に自分を売るような事をしたのか、気付いていたのだと思う。


「俺、川邊のオッサンに初めて会った時、嬉しかった」


篤さんはその時の事を思い出したように、笑みを口元に浮かべると、


「こいつが父親なら、俺は将来ハゲる事はねぇだろうな、って。
スゲェ、フサフサだからよ」

そう言葉を続けた。


その髪の毛の事もそうだけど、
篤さんはそうやって父親に初めて会えた時、なんとも言えない喜びが胸の中にあったんだろうな。

< 234 / 243 >

この作品をシェア

pagetop