LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
そうやって気が遠くなるような痛みに数時間耐えた頃。


私は分娩室へと助産師さんに、促された。


痛みが収まっている時に、その分娩台へと上がる。


その時に、


「篤さんも、来て」


と、その手を離さなかった。


事前の話し合いで、立ち会い出産はしないと篤さんとは話していたのだけど。


土壇場で、私の気持ちが変わった。


「分かった」


私よりも、立ち会いは怖いからしたくないと言っていた篤さんも、
私の言葉にそう頷いてくれた。


私の出産は、初産にしてはわりとスムーズだったのだと、後で知ったけど。


その時は、本当に死ぬんじゃないか、と思う程痛くて苦しかった。


分娩室に入ってからはスムーズで、
30分もしないうちに、生まれて来てくれた。


分娩室に響き渡る、赤ちゃんの泣き声。


「おめでとうございます。
元気な女の子です」


その女性の助産師さんの言葉をうっすらとした意識の中、聞いていた。


「頑張ったな、梢」


そう篤さんが私の頭を撫でてくれた。

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