LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「コーヒーと紅茶、篤さんはどっちがいい?」
兄にそう訊かれ、私は首を傾げてしまう。
篤さんがコーヒーか紅茶か、どちらが好きかなんて私は知らない。
勝手なイメージでは、コーヒーのような気がするけど。
「全員、コーヒーでいいか」
「うん。
あ、私は妊娠しているから、辞めておこうかな」
夕べ寝る前にスマホで妊娠について色々調べたが、
カフェインはあまりよくないとか。
て事は、ティラミスもダメかな?
「梢、篤さんと付き合ってたって、本当か?」
声を潜め、兄は私に訊く。
チラリと私を見るその兄の目が、なんとなくその答えを知っているみたいで、
怯んでしまう。
「うん…。
お兄ちゃんにも内緒にしていて、ごめん」
その私の言葉が聞こえているはずなのに、
兄はそれには頷く事すらしてくれなくて。
兄が怒っている事が、その空気で分かった。
なんで怒っているのだろうか?と思ったけど。
その後、篤さんが帰る迄兄はいつもの兄で、
篤さんが居る事でいつも以上に機嫌が良くて。
だから、そんな些細な出来事等、
私は忘れてしまった。