君と旅の途中
穂希のからかうような声色に、穂希の顔をぐっと押しのけた。
そして、ブーブーと文句を言う穂希をちらりと横目で見る。
……初恋なら、もうすでにすませてるんだけどな。
まぁ、今さら言えることじゃないし……そういったら、初恋の相手は誰だとか、合わせろだとか色々言われるのは面倒だから、黙っておこう。
「……さ。早く教室に帰るぞ」
「はーいっ。というか質問して引き留めてきたの、都生なんですけど?」
「うっさ……はいはい、ごめんなさい」
「えーっ。ごめんって……謝罪に心がこもってないなー」
俺が階段を一段飛ばしで何段か上ると、穂希はなおも小言を言いつつ、俺の後ろを追ってきた。