君と旅の途中
そんなクラスメイトの声を確認して、穂希の肩を抱いたまま教室から出る。
「……まっすぐ、振り返らずに歩け」
「っ……」
そう小さくささやくと、穂希は小さく息を呑んで、こくりと頷いた。
そしてげた箱までついて足を止めると、穂希は一歩俺から離れてこちらに笑いかけた。
「都生、ありがと……助かったよ」
ささやくようなかすれ気味の声に、俺は無言で穂希を見つめた。
「私と都生の間にやましい事なんてないのに。否定しなきゃいけないのに……何も言えなくて、ごめん。ちょっと怪しまれたかも」
「別にいいけど……」
申し訳なさそうに両手を合わせる穂希に、困惑して少しの声を漏らす。
穂希は、昼休み中のやり取りでもわかるように、気が弱いタイプではない。
……まぁ、穂希がこんな風になっているということは、どうせ高田絡みなんだろう。