君と旅の途中
そこで、俺はちらりと横目で穂希に目をやった。
かわいい……か。
やっぱり穂希はなかなかモテるんだということを今回の一件で再確認できた。
俺との仲を否定するなり、男子らはものすごい勢いでガッツポーズをしていたし。
「……何? どうしたの?」
「いや……なんでも?」
なぜ言わないかというと、そのことを口に出すと照れて思い切り叩かれるか、からかわれていると勘違いされて足を踏んづけられるかの二択になるから。
俺はきょとんと無垢に首を傾げる穂希から、真意を悟られぬようにゆるゆると目をそらした。
お願いだからそのままかわいくいてくれ。
「……あっ。都生、そういえば、忘れてないよね? 九月十日には何があるでしょーか? はい、都生君!」
「ん?……あぁ、誕生日パーティのこと?」
「ピンポーン! さっすが都生! 私の幼馴染~!」
じっと睨まれて数秒考えこみ、それから思いついたことを口にすると、穂希はぱっと目を輝かせた。
それからぎゅっと抱き着いて来ようとしたから、ぐいっと顔を押しのける。