君と旅の途中
……それにしても、こいつは気温というものを感じないのだろうか。
いかにも爽やかな笑みを浮かべる穂希は汗一つかいていなくて、俺は何だか悔しく思う。
俺は立ち上がり、頭一つ以上低い位置にある目に視線を合わせ、それからチョップを食らわせた。
「痛っ」
「うっせ。俺は優しくねーよ」
すると穂希はパチパチとその大きな瞳を輝かせ、それから満面の笑みを浮かべた。
その笑みにぞわっと肩が震えて、顔をしかめた。
「な、なんだよ……」
「いや、別に~? 都生ったらツンデレなんだな~っと思いましてね?」
「……あ?」
茶化すような声色に低い声を漏らし、むにっと穂希の頬をつまんだ。
「う、ぅ~はなへ~」
「はは。すげー間抜け面」
バタバタと手足をばたつかせ抵抗する穂希に、笑いを漏らし手を離した。