君と旅の途中
穂希はしばらくつままれたところをさすり、それからびしっとこちらを指差した。
「いたた……もうっ、都生君はすぐに手が出ますね? そんなことしたらモテないぞっ?」
「……もう一回ほっぺをつねられたいのかな?」
そう呟くと、穂希は誤魔化すような笑みを浮かべた。
「あ、はは。冗談ですよ、やだなもう~」
「どうだか」
はっと息を吐くと、穂希はベンチに置かれた俺の弁当に目を落とした。
「ところで都生ひとりで何やってるの?」
「何って……見てわかるだろ。ボッチ飯だけど、何か?」
普通見たらわかるだろ。……わざとか? 嫌味なのか?
そうだとしたらこいつかなり性格悪いだろ。
いくらかふてくされてそう答えると、穂希は目を丸くした。
「え、なんで? 都生友達多いのに」
「わざわざこんな暑い中外で食べたがる奴がいるか? それに、ほとんどの奴が学食なんだよ」