君と旅の途中
「まあ、穂希はこのゲーム始めたばっかだろ。だから俺に負けるのは仕方ねぇだろ。年季の入り方が違うんだよ」
「えー。でも一回も勝てないのは違うよ。もしかしてチートした? チーター?」
「逆にこのゲームでどうやってチートするんだよ?」
やり方を教えてほしいわ。
そう正論をぶつけると、穂希はうーと唸り、それからよしっとゲーム機を握った。
「何事も練習だよね! 都生、もう一回対戦しよ!」
「よし来た」
その後の戦績は見事に俺が全勝して、穂希をぼっこぼこのフルボッコにしたんだけど。
「いやー……都生強すぎ。手加減って言葉知らないの?」
「は? 手加減してほしかったの?」
「それはそれでムカつくが?」
「なんなんだよ。自己中かよ」
「そうかも」
あははと明るく笑う穂希に俺は呆れて、ベッドにもたれかかった。